大切な友よ

 

 

何故にあなたは
そんなに
変わり果ててしまったのか
もう あの
ほがらかで真っすぐな
あなたはいない
どこにも
ほんのカケラさえも  無い
見当たらない

悲しくて涙がただれる
私のせいか
誰のせいか
帰らぬ時間を
懐かしみ愛おしんでも
それも虚しく

何故にあなたは
そんなに荒み
投げやりな人間に
自らを投じてしまったのか

どうにもならない悔やみ
沈み込み枯れ尽くす

確かに一番の友だったのだ
誰よりも気のおけぬ
大切な人だったのだ

深海の謎ほどに

 

 

ドキドキドキッ…ではなく、
バリバリバリッ…と
胸内が激しく音を立てた。

巨大虫に
喰い尽くされたかのよう
残りカスと化した
私の心は
大半あの人に持ち去られた

返さなくていい

ほんの
これっぽっちとなった
小さな小さな私の残骸は
存外居心地もよく
けれど失くした大半を
午後3時には
決まって恋うる

…やたらに感傷ぶるでない。

シビアな過去になぶられて
いまだ恋は未知の海域


あなたは煌めく深海のそのまた深く

 

 

 

 

 

忘れたわけではありません

 

 

忘れたわけではありません
ですが…ですが
貴方への思慕は
もはや遠き日の一番星
記憶の彼方で
冴え冴えと光放つものの
それは
思い起こそう  と
苦心した時だけの瞬き

忘れたわけではありません
それは単なる言い訳でしょうか


今日この日を
ひとり部屋で過ごすのも
下手な理由をつけて
もて余しているのです

苦笑。

 

 

明るく朗らかに
言葉を紡ぎ合うより
黙りこくって
並び歩く方を選びたい

優しげなあなたと
二人でいる貴重なひと時なのに
何故か言葉が邪魔になる

目さえいらない
何も見たくない
手探りで暗闇をつたい歩く
あなたとならば
あなたとならば

苦笑。

何も始まりもせず
かと言って終わりもない

中途半端な好感が
世界の何もかもを
台無しにする

私を

あなたを

無さえ饒舌に
かしましく吠えたてる

君の出番だ

 

 

甘き おとめよ
かろうじて世に存在す
「明日は我が身」を明らかにすべく
私は  過去の未来の現し身か
今  わざとばかりに
微笑まん

辛き成年よ
優しげな木の葉のせせらぎに
一重のまぶた眩しげに細め
三重八重のバラの棘にて
その手首を切ん

大人なる  我が身よ
老いを追い越し
痛め膝を伸ばすことできず
見えぬ目の奥で涙を垂れ流す

音よ鳴れ
光よ廻れ

じきに来る
何が来る
さあ 君の出番だ

道行は果たして

 

 

暗い暗い暗い
濃灰色の雲間から
ようやくひと筋の陽が

待ちくたびれて眠り込む
その寸前に

やあ やっと来たね
よくたどり着いたね
よろしくよろしく

握る両手はひたすら暖かく
微笑む顔は夢の如く柔らかく

…待っていたよ君を
出会う前からずっと

そんな手ぬるい歓迎には
けして頬赤らめなぞいたしませぬ

待っていたとはけしからん
私が前をゆきます
主導権はこの先は私です

かくして
道行くふたり
ぞろぞろと蟻たちが後につく

まばたきの合間に

 

まばたきの合間に
日よ過ぎろ
時よ流れろ
苦しみのたうち回る
そんな経緯はいらない
お気楽な結果だけが欲しい
振り向いたら
全てが終わりまた始まっていた
カレンダー1枚めくるように


経緯こそが
人を育てる  そうも言う
だが今は
せめて今は
どうか今は

雨止み陽が照る
そんなハッピーエンドを
ひたすら願う