ひたむきに
焦がれた夜もあったのに
……もうとうに通り過ぎてしまった。
今はいずこ
忘れた感情を探しに
幾夜も
夢を彷徨いに出かける
恋は短く
慕情は儚く
貴方の面影は
秋の日長い影のよに
焦げたアスファルトに
ひたすらに伸び
ふと目覚めた
深夜の枕元で
忘れたはずの思い出に
掻き回される
もうとうに記憶の彼方
さあ
瞼を閉じ
忘却の眠りにもう一度
やがて
何も知らぬ存ぜぬの朝が
あの日の確かな恋を
亡き者にしてしまうのだろう
…忘れたくはなかった。
言葉に溺れゆく
歌に浸り沈む
舞に砕け散る
やがて と
貴方は言う
もしくは
すべて と
もう一度二度
振り返り振り返り
貴方が
こちらを向かないの
分かっていても
それでも 尚
歩を止めて
風になびく髪を
その
その肩を腰を
貴方という
物体を
いずれ消えゆく姿でも
痛いほどに
目の裏に焼き付けた
もう
去ってゆく
経ってしまった長い年月が
きみを責める
柔らかいシフォンのリボンで
甘噛みのように
ぐるぐる巻きにされ
飼い殺しの如く
中途半端に見動ける苦痛
逃げないし目を瞑らない
だけどこの手は
燃えさかる炎の中
忍び泣き
足元に溜まる涙の渦
すべて錯覚さ
今までの苦悩 皆
いくら望んでも
時は巻き戻らない
やがて枯れ果てた地の底から
ひょろりと一輪が咲き誇るだろう
あの日の私は
まだ未成年だったよね?
あなたは私の
中学時代の副担任
夜更けまで飲み屋に引っ張り回して
気弱な私は
「もう帰ります」の一言が言えなくて
へろへろに酔い潰れたあなたは
地べたに突っ伏し 終電逃し
仕方がなくて
泊まれるピンクの部屋に運んだよ
ドアを閉めたら
力ずく 襲いかかってきた
え?さっきまで寝てたじゃん
嘘だったの?芝居して騙したの?
腕をはらい顔を殴り
でもかぶさってくる
やめろ 汚い教師
叫びたくても声が出ない
逃げたい 助けて
やめてやめてやめろ
力尽きて
何もかも諦めた
観念して 横たわる
こうすればいいんでしょ
豚のような男
忘れないよあの時のこと
今でも悔しくて
怒りに身が震える
絶対に許さないよ
あんたのこと
今でも訴えられるなら
高らかに声上げるよ
このクズ教師
そろそろ死んでる頃かな
早く死んでほしいな
「合意の上」なんて
一体どの口が言うんだ
ひとたび眠れば
この苦悶すら消えてしまう
消えるな消すな
苦悩の海でひたすら漂え
果てまで続く
涙とため息の波に溺れろ
安らかな眠りなぞ
嫌悪して蹴散らせ
いついつまでも
今の自分でいたいなら
そして
全知全能の神の如く
私はぶざまに寝付くのだろう
おそらく総てを
総てを忘れてしまうのだろう