残酷

 

 

右斜めに俯き
静かに放った一言が
そんなにも
君を傷つけたのか


僕は知らなかった


下手をすると
へらりと
気安く笑いながら
舐めた口調をするところだった


もう遅いね
ごめんね。


…なんて言っても届かない

君は秒の速さで
遥か彼方に
去っていった
君の現し身だけを
目の前に残して


泣かれるよりも
残酷だ
君は今  どのあたりで
心を打ち砕いている

済まない、と
何百回謝っても
君はもう聞く耳もたない


「元気でいてね」
嘘だらけの笑みで
君の瞳は凍りつき
二度と僕を
許すことはないのだろう