忘却の恋

 

ひたむきに
焦がれた夜もあったのに

……もうとうに通り過ぎてしまった。

今はいずこ
忘れた感情を探しに
幾夜も
夢を彷徨いに出かける

恋は短く
慕情は儚く
貴方の面影は
秋の日長い影のよに
焦げたアスファルト
ひたすらに伸び

ふと目覚めた
深夜の枕元で
忘れたはずの思い出に
掻き回される

もうとうに記憶の彼方
さあ
瞼を閉じ
忘却の眠りにもう一度

やがて
何も知らぬ存ぜぬの朝が
あの日の確かな恋を
亡き者にしてしまうのだろう


…忘れたくはなかった。